口説いてんの?


映画館に入り、定番のポップコーンを

買って席に着いた。

内容は、普通の恋愛映画で

取り立てて面白くもない。

だけど、中盤でベッドシーンが始まり

食い入るように見てしまった。

彼に肘を付かれ、ハタッと気付いて

横を向くと、彼が耳元で囁いた。

「見すぎです」

薫子は、可笑しいのと恥ずかしさで

顔を覆い、声を出さないように笑った。

いつか来る、その日の為に勉強しないと

いけないでしょ?

この歳で何も知りませんは情けないでしょ?

エッチビデオも借りれないし

こういう機会でもないと・・・ねぇ?

薫子は、頭の中で言い訳をしていた。

スクリーンに顔を戻すと

地下鉄の場面に切り替わっていた。

エンディングまでベッドシーンはなかった。