口説いてんの?


凪斗が顔を覗き込んだので

薫子は軽く睨み返した。

「怒ってますぅ?」

「・・・」

「ごめんなさい、でも・・・」

「でも、何?」

彼は目線を床に落として言った。

「キスは許してくれましたよ?」

「そうだけど・・・今日は積極的だから・・・」

「久しぶりだから嬉しいんです。

 駄目ですか?」

「駄目じゃないけど・・・

 でも、凪斗って変わったよね?

 最初は握手するのも汗掻いてて

 肩を叩くと赤く・・・」

凪斗は、あぁー!と声を出し

薫子の口元を手で押さえた。

「それ以上言わないで下さい!」

彼の焦った顔は

少年のようにあどけなかった。