口説いてんの?


二人が付き合っている事は誰も

知らないけど、恵理子さんの観察力は

相当な物だった。

「凪斗君、元気になったみたいだけど

 あれは彼女が出来た顔だね?」

薫子は、頭を叩かれたような衝撃が走り

目を強く閉じた。

「何か訊いてる?」

恵理子さんは、探るように付け加えた。

「え?あ、いえ。でも、どうしてですか?」

「お客さんに声をかけられても

 優しく笑顔で対応していたのに

 最近は、声をかけられると困ったように

 顔をしかめるの。

 でも、彼自身は気付いてないのよ」

「よく見てますねぇ?」

薫子は、呆れるを通り越して感心していた。

「そうよ!凪斗君を見るために

 仕事に来てるんだからぁ!アハハ!」

恵理子さんは、愉快そうに笑い

彼に視線を送った。