それでも凪斗は俯いたままだったので

俊也が近付き声をかけた。

「凪斗、気を使わなくて良いからな」

「そうよ!宇佐見君、肩の力抜いてね」

薫子が凪斗の両肩をポンと叩くと

彼はまた、真っ赤な顔になった。

「宇佐見君、顔真っ赤だよ?

 もしかして童貞?」

「留美っ!」

薫子は、強い口調で言ったけど

自分の事を言われてる気がして

ドキドキしていた。

「本当だよ!男にそんな質問するな!」

俊也は言いながら

自分も同じ事を思っていたので笑っていた。

「だって~!

 肩を叩かれて赤くなるんだから~!」

二人は笑っていたけど

薫子の顔は、だんだん強張っていった。