口説いてんの?


部屋に戻り、俺は大胆にも

薫さんのダブルベットで眠りについた。

翌朝、少し痛みを感じて目を覚ますと

猫が俺の唇に爪を引っ掛けていた。

そっと前足を掴むと、猫と目が合ったので

おはよう、と思わず声をかけた。

猫は一声鳴いて背筋を伸ばした。

俺の言葉が通じたのか?

そんな事ある訳ないし。

でも、俺の耳元に座り毛繕いを始め

尻尾を左右に振ったので

何故か嬉しくなった。

猫も犬みたいに、嬉しい時に尻尾を振るのか

どうかは分からないけど。

その尻尾が、薫さんの顔を刺激したので

ゆっくりと目を開け、くすぐったい

と言いながら尻尾を払いのけた。

「泊まったんだぁ?」

「ええ、お母さんが貸してくれました」

俺は、パジャマの胸元を摘んで答え

薫さんに身体を向けた。