口説いてんの?


頭を撫でてやると、気持ち良さそうに

目を瞑り喉を鳴らした。

ふと見ると、ラックの一番下の段に

ブラシがあるのが見えた。

毛並みの長い猫を飼った事はないけど

ブラッシングをしてみたくなったので

ブラシを手にして猫を膝に乗せた。

でも、手馴れてないせいか

嫌がってベットの方へ逃げてしまった。

仕方ないので、面白くもないテレビを

見ていると薫さんが戻ってきた。

「おまたせ。ごめんね」

薫さんは、白のスウェットの上下を着て

シャンプーの香りを漂わせていた。

俺は正視することが出来ず

テレビに視線を向けたまま答えた。

「おかえりなさい」

薫さんは、熱い、と言って

ビールを勢いよく飲み干した。