口説いてんの?


50歳の母親と友達感覚というのも

変な話だけど、姉が結婚するまでの三人は

恋愛話で盛り上がっていたので

そんな冗談を平気で言うのだろう。

私が処女だと知ったら、なんで?

と軽く返されそうな気がする。


薫子が部屋に戻ると

凪斗がラックの牌を眺めていた。

「年季入ってますねぇ?」

「それは、お爺ちゃんのなんだ。

 両親は麻雀しないけど

 お爺ちゃんが好きだったから」

「お爺さんに教えて貰ったんですか?」

「うん」

「俺もです。

 うちは、婆ちゃんもしてましたけど」

偶然だね、と言って二人で笑った。

「食べよう。怒ったらおなか空いた」

「俺もです」

猫に餌をやり、ビールを注ぎあって

薫子は一口だけビールを飲み

テレビを見ながら弁当に手をつけた。