御影市大新年会2009

「なるほどな」

地下室からリビングに上がり、事のあらましを聞かされた紅が、壁際にもたれかかって腕組みしたまま皮肉笑いを浮かべる。

「それでご機嫌斜めというわけだな、そこの魔女は」

「魔女って言うんじゃないわよ!」

がぁーっとまくし立ててブランデーを垂らした紅茶を飲み干すメグ。

これで七杯目である。

「気をつけろよ紅。今ならあいつ腹癒せ程度の理由で禁呪使いかねないぞ」

修内太が小声で言う。

「確かにな…剣呑剣呑…」

紅がクスリと笑った。

「しかし」

乙女が部屋の窓から外を眺める。

「正月…というのか。新年を祝う行事…なかなかにいいものだな。清浄というか…神聖というか…厳かな雰囲気が…なぁ紅?」

振り向いた乙女の視界には。

「ぐごおおぉおおぉおぉぉぉお」

大いびきをかいて爆睡続行中のジルコー。

「ほら!もっとたっぷりブランデー入れなさいよ修内太!」

ヤケ紅茶中のメグ。

「わわ!俺の烏龍茶にブランデー入れるんじゃない!」

そのメグにいじられる修内太。

…紅が呟く。

「乙女、どこが神聖で厳かだと?」

「……」