宮崎さんは……かわいい。 爽やかな風の吹く、花咲く春の中庭、ほんの小さな仕草を見たあの日、この人かわいいなって一瞬。軽く流した。 同じ学部でも、高井君の友達でも、俺が関わることはないって思ってた。 宮崎さんは、かわいい部類に位置する、これは黙っておこう。 時期に梅雨が明け、太陽が高く乾いた夏がやってくる。 何にも存在しなかった暑く静かな夏の意味が、ぼんやり苦く、甘く、溶けていく。 ─第一章『香雨とそぞろあめ』 終 ─ 挿絵・にじジャーニーで作成