紺桔梗の転調





「そうだ、あのね……ちょっと待って」

 宮崎さんが茶色のハンドバッグに手を入れ、スマホを取り出す。パステルカラーの小さな桃と花柄のカバー、話の流れで触れた。

「桃、そんな好きなんだ」

「違う……これは偶然」

「そう?」

「本当に」

 クスッと笑みを浮かべた宮崎さんが、スマホの画面を見せてきた。

「駅にあるシュークリーム屋さんの、季節の桃のシューがすごく美味しいんだ。仁志君、知ってる?」