私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】

ねぇ、お母様。


あそこにもう行きたくないって言ったら聞いてくれる?


でもきっと、迷惑掛けちゃうよね。


今もわたしのために頑張って遠くまでお仕事しに行ってるのに。


お母様は心配性だからわたしが一人でお留守番するのは嫌がるだろうし。


わたしがはやく大人になったら心配掛けなくて済んで、一人でお留守番もできて、あの人達にも会わなくていいようになるのかな。


ああ、早く大人になりたいなぁ──────。





そんな生活が続いてどれくらいが経っただろうか。


ちらほらと雪が降る日も増えてきた時期のこと。


この日はわたしの誕生日だった。


今年も小さなケーキを買って一緒に食べて、ぬいぐるみをプレゼントしてもらったりして幸せな一日。


お母様はわたしの誕生日の日からお正月までは毎年お休みを取って一緒に居てくれるからこの時期が好きだった。


お母様が居るからあの人達の居る家に行く必要もないから。


ずっとこの日を待ってたんだ。


「ん・・・?」


台所の方から聞こえる話し声と漏れた明かりによって目が覚める。


お母様眠れないのかな?わたしもトイレに行きたいし・・・。


貰ったばかりのぬいぐるみを抱いてドアノブへと腕を伸ばす。