私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】

「おはよう、怪我の調子はどう?」


「おはようございます。怪我はなんともないです。・・・それより、」


ましろちゃんの視線が薺さんからあたし達に向けられる。


下ろした髪に、いつもきちんと整えられている制服とは違う見慣れない病院着。


そんな姿にドキッとする。


その表情はなんて言えばいいんだろう。


上手く表せないけど、一言でいえば無。


こっちを見ているけど視線は噛み合っていない、そんな感じ。


また文化祭の日に見たましろちゃんを思い出してしまう。


あの時と同じように、ひどく遠く感じて呼吸がしづらくなった。


「皆?僕が無理言って着いてきてもらったんだ」


「そう、ですか」


「うんうん。それでなんだけど、理事長と保護者として輝夜と文化祭の件で話をしなきゃいけなかったから先に話し合ってくるよ」


「それって」


まって、なんでそんな話が?


ひょっとして文化祭の件、ましろちゃんに責任が問われるの?


だとしたらおかしいよ、ましろちゃんが一番の被害者なのにっ。


この件でましろちゃんが退学、なんてなったらそれこそもう・・・。


「大丈夫、形式的な話をするだけだよ。申し訳ないけどここは頼めるかな」


顔に出ていたのかにっこりと笑って薺さんも理事長達の後に続く。


「ご主人様、僕も外で待ってるね。何かあったら呼んで」


「・・・分かったわ」


皐月くんまで・・・。


皆、あたし達がしたい事を察してくれてる。


だからこそ逃げたくない。


今度こそちゃんと向き合わなきゃ。