私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】

side, 優里


「皆、こっちだよ」


次の土曜日、あたし達は午前中から中央病院に来ていた。


受付のお姉さんから面会証を受け取っていると薺さんが海斗さんと一緒に迎えに来てくれたため、お辞儀をして挨拶を交わす。


「お久しぶりです。今回はありがとうございます」


「いやいやこちらこそだよ。奏くんもあの子が居ない間、家の管理をしてくれてありがとうね」


「いえ、俺なんか全然・・・」


薺さんは今回もスーツ姿だ。やっぱりお仕事は忙しいんだろうな。


忙しい合間を縫ってましろちゃんに会いに来て、あたし達のことも気にかけてくれて。


これが大人の余裕、なのかな。


「お姫様もあれから頭の傷はなんとも無い?」


「は、はいっ!あの、ましろちゃんは今・・・」


「今は病室に皐月とうちの嫁さんといるよ」


「そうですか・・・」


自分から聞いておいてこんな反応しかできないの申し訳ないな。


こうして面会できることに喜んでいたけど、会ったらまずどんな話をすればいいのか分からなくてこの二日間きちんと寝ることができなかった。


あたし、ましろちゃんの前で笑えるのかな。


直接拒絶されると思うと顔が引きつってしまって仕方がない。


この場に来てもなお、心が揺らぐあたしをましろちゃんは受け入れてくれるのかな。