私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】

「これまたなんで」


「薺さんが来るのよ。そのまま泊ってく、なんてことがあったら私も動けないし予め予定は入れない方がいいわ」


「りょーかい」


薺さんって、あれか。ましろの父親だっけか。


少しでも休むんだったらいいけど、きっとまたこんな生活に戻るんだろう。


身も心も使い捨てるような生活に。


『妹をあんな目に合わせた奴に復讐したいんだッ!』


『対価を払う覚悟はあるか?』


『復讐できるなら捕まろうが死のうがなんだっていい』





『おにぃ、私達本当に今日からここに住むの?学校だってあの神代学園に通うなんて・・・』


『・・・ああ、これも全部ましろのおかげだ』


「ましろはさ、」


救いたいだなんて思っちゃいないけど。


少なくとも恩は感じてるわけで。


・・・茜からもあれこれ言われそうだし。


恩人が壊れていく様をただ黙って見過ごすのは気分が悪いからこれだけは言っておこうかな。





「もう少し欲を持ったっていいと思うけど」





立ち止まった俺に合わせて振り返るましろ。


「欲がありすぎたせいですべて壊したのよ。もう二度と同じ過ちは犯さない」


ただそれだけを告げて帰路につく。


あーあ、やっぱ俺なんかじゃ止められないよなぁ。


・・・誰か、


──────そうだ。


あのトップ様達が諦めずにこいつを救い出してくれたら。


なんて、願ってしまうのは何故だろう。