私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】

店から逃亡を図った先にましろが現れたんだ。


さぞかし絶望したことだろう。


「・・・色欲のやってることを否定できるような立場じゃねーな」


「ん?」


「なんでもないわ」


煙草の火を靴裏で消しながら路地裏を立ち去ろうとする姿を追いかける。


こいつが何を考えてるのかなんて分からないけど、


「あの女がこうなったのは自分で選んだからだ」


傾きかけていた親の会社に運よく支援を申し出る会社が現れ、借金という形で立て直した矢先にこれまでの不正が露呈しこれまでの生活を維持できなくなった女。


それでも欲をかかなければ最低限の生活は送れただろうに、見栄を張り続けるために闇金にまで手を出した結果がこれ。


そのすべてにましろが関わっていようと数少ないチャンスを全て捨てて選択したのはあいつ自身だ。


「慰めてくれるの?らしくないわね」


笑みを浮かべる姿はあの学校に居た頃をチラつかせる。


最初の頃はなんて綺麗に笑うんだと思ってたわけだけど、今思えば感情のない人形のような笑い方だったな。


旭ヶ丘に転入して随分と人並みの表情をするようになったと思ったんだけどなぁ。


「文化祭のあの後、暴れたんだって?んでもってトップ様達との面会を拒否してるらしいじゃん」