私は‪‪✕‬‪✕‬を知らないⅢ【毎週水曜更新中】

side, 龍二


黒い雲が空を覆い隠す中、路地裏には呻き声と何かを打ち付けるような音が響く。


(ここ数日天気が良くないな。週末は豪快に降りそうだ)


目の前の光景を見て呑気にこんな事を考えているだなんて、慕ってくれている奴らには知られたくないかな。


俺だって腹の虫がおさまらないのだから仕方がない。


足元に転がる人達、────西の人間によってまた大切な人が傷付けられたのだから。


少々やり過ぎた感は否めないが後悔はしていない。


・・・何かが晴れる訳でもないが。


「た、たすけ、」


視線の先に居る男がこちらに向かって手を伸ばす。


素直にまだ喋れる事に感心する。


早く意識を失った方がいいだろうに、とも。


(助けて、か・・・)


「ごめんな。俺達今虫の居所が悪くてさ」


「・・・う"っ」


「そんな時に喧嘩を売ってきたんだ。恨むなら過去の自分に頼むな」


そもそも2人相手に15人以上で来る時点で道理なんてものを求める資格はないと思うが。


・・・まぁ、でも。そろそろ止めなきゃだよな。


今日はすぐに止まってくれるといいんだけど。


「朔夜ー今日はもうその辺にして帰ろう。煙草もそんなに吸って、体に良くないぞ」


「・・・俺の勝手だ」


路地裏の先へ呼びかければ辛うじて返事はしてくれるものの、拳を振り下ろすのを止める気は無いらしい。