不倫の恋

車の助手席にふみを乗せ、愛斗が運転席に座ると、すぐに体を寄せて再び唇を重ねた。窓の外の柔らかな光が二人を包み込み、車内には誰にも邪魔されない甘い空気がゆっくりと流れていく。
「行こうか、花の公園。今、色とりどりの花がたくさん咲いてるって聞いたんだ」
愛斗が囁くように言うと、ふみは目を細めて嬉しそうに頷いた。
「うん、楽しみ。早く行きたいな」
エンジンをかけて車を走らせると、道沿いの木々や家並みがゆっくりと後ろへ流れていく。ふみは自分の手の上に重ねられた愛斗の手のひらから伝わる温もりを感じながら、この秘密で幸せな時間が永遠に続けばいいと、心の奥底から願っていた。車はまっすぐ公園へと向かい、道中、愛斗は何度かカメラを取り出し、窓の外に広がる景色や、助手席で微笑むふみの横顔にシャッターを切った。
公園の駐車場に車を停めると、二人は顔を見合わせて小さく頷き、そのまま近くのホテルへと足を向けた。誰に見られることもないように静かに部屋に入るや否や、互いの腕が絡みつき、熱い口づけを交わす。唇を重ねたままゆっくりとベッドへと導き、ふみの服を一枚ずつ丁寧に脱がせていく。白い肌があらわになるたびに愛おしさが募り、愛斗は彼女をしっかりと抱きしめ、何度も何度も唇を重ねた。
二人は一時間ほど、ただ互いの存在だけを感じ合い、体と心を一つに溶かすように愛し合った。熱い時間が過ぎ去り、息を整えながら腕の中で寄り添い合うと、さっきまでの高ぶりが柔らかな幸せへと変わっていくのを感じた。
「最高だった……」
愛斗が囁くと、ふみは頷いて彼の胸に頬を押し当てた。
「私も……愛斗くんとだから、こんなに幸せなんだね」
ゆっくりと体を起こし、着衣を整えて部屋を出る。ふみが住む家のすぐ近くまで車で送り届けると、周りに人の気配がないことを確認して、もう一度だけ軽く口づけを交わした。
「また会おう、必ず」
「うん、待ってるから」
別れを告げてふみが家へと向かうのを見送ると、愛斗は車を走らせ、帰り道にあったコンビニに立ち寄った。店内に設置されたコピー機で、今日撮った写真を何枚かプリントアウトし、軽い飲み物とお菓子を買い込んで自分の部屋へと戻った。
家に着いてからは、簡単に夕食を作って食べ、シャワーを浴び、一日の疲れをゆっくりと洗い流した。ベッドに横になりながら、ポケットに入れたふみの写真を取り出して眺め、彼女の笑顔を思い出して胸の奥が甘く締めつけられるような感覚に包まれた。
次の日、二人はまた山のふもとで待ち合わせをした。ふみはカメラと撮影道具を肩にかけ、愛斗もリュックを背負って、朝の澄んだ空気の中を一緒に登り始めた。道中、ふみが岩の段差に足をかけられずに立ち止まると、愛斗はすぐに手を差し伸べて彼女を引き上げた。ふみが体を預けるように抱きついてくると、周りに誰もいないことを確認して、柔らかく唇を重ねた。
「大丈夫? ゆっくりでいいからね」
「うん、ありがとう。愛斗くんが一緒だと、どんな道も平気だよ」
二人は笑い合いながらゆっくりと登り続け、やがて山頂へとたどり着いた。視界がぱっと開け、眼下に町並みや遠くの山々、青い空が一面に広がる。ふみはすぐにカメラを構え、風景をファインダーに収めていく。シャッターを切るたびに嬉しそうに目を輝かせる彼女の姿を、今度は愛斗がカメラに収めた。風に髪をなびかせ、真剣な表情でレンズを覗く横顔は、どの写真よりも美しく、愛斗の心に焼きついた。
撮影を終えて山を降りると、そのままふみの家へと向かった。リビングには夫の貞夫がくつろいでおり、二人は笑顔で挨拶をした。
「あなた、久しぶりに『もっちゃん』に行かない? 今日はちょっと疲れちゃって、ご飯を作る気になれないの。準備してくれる?」
ふみが柔らかく言うと、貞夫は頷いて立ち上がった。