キッチンへと入り、ふみはふっと周りを見渡して、リビングの夫がテレビに夢中でこちらを見ていないことを確認すると、つま先立ちをして愛斗の唇に素早く口づけをした。
「ふみ、そんなことしたら貞夫さんにバレちゃうよ。せっかく信頼してもらってるのに」
愛斗は慌てたように言いながらも、彼女の体をしっかりと抱き止める。その瞳には、ふみだけに向けた熱い想いが宿っていた。
「大丈夫だって。あの人はテレビがついてたら、周りのことなんて何も見えないんだから。こっちに来るわけないよ。それに、こうして愛斗くんと一緒にいる時間、少しでも長く感じていたいの」
ふみは悪戯っぽく笑い、再び彼の唇を奪う。二人はキッチンの隅で、夫に気づかれないように少しだけ肌を重ね合わせ、小さな愛撫を交わした。胸元に手を滑らせたり、腰に腕を回して抱き寄せたり、言葉にできない想いを体で伝え合う。短い時間だったが、ホテルでの時間と同じように、二人の心は熱く高ぶった。
それからゆっくりと気持ちを落ち着け、二人は並んで料理を作り始めた。包丁を持つ手も、鍋を混ぜる手も自然で、まるで本当に一緒に暮らす二人であるかのように息が合っていた。
料理が出来上がると、二人はお皿に盛りつけてリビングのテーブルに並べ、三人で席についた。
「いただきます」
三人の声が重なり、静かな夕食の時間が始まった。テーブルの下では、ふみの足が愛斗の足にそっと絡みつき、二人だけの秘密の合図を送り続けていた。愛斗は時折、ふみの顔を見つめ、自分だけが知っている彼女の艶やかな表情を思い出して、胸の奥が甘く痛むような感覚を覚えるのだった。
食事が終わり、テーブルを片付けたあと、ふみが淹れてくれたコーヒーを手に、愛斗はゆっくりと湯気の立つカップを口元に運んだ。
「美味しいです、ありがとう」
柔らかい笑顔でお礼を言うと、ふみも嬉しそうに頷き、三人でしばらく他愛もない話に花を咲かせた。時計の針がだいぶ遅い時間を指した頃、愛斗は席を立ち、貞夫とふみに丁寧に挨拶をして家を後にした。
外に出ると、夜の冷たい空気が頬に心地よい。駅へと向かう道すがら、近くのコンビニに立ち寄り、奥に設置されたコピー機で必要な書類のコピーを済ませ、ついでに翌日の朝食と飲み物をカゴに入れて会計を済ませた。
自分の部屋に帰り着くと、真っ先に冷蔵庫からカフェオレを取り出して一口飲み、一日の疲れをゆっくりとほどいていく。それからゆったりとお風呂に浸かり、体を芯から温めると、ふみのことを思い浮かべながら、やがて穏やかな眠りに落ちた。
朝日がカーテンの隙間から柔らかく差し込む頃、ふみは目を覚ました。鏡の前に立ち、丁寧に化粧をして、いつもより少しだけ華やかな服に着替え、髪型も念入りに整える。心が弾んで、指先まで軽やかだ。リビングに降りると、貞夫が新聞を広げていた。
「どこか行くのか?」
顔を上げた貞夫の言葉に、ふみは笑顔で頷く。
「うん、昔からの友達とランチに行ってくるね」
「そうか、それはいいな。ゆっくり楽しんでくるんだぞ」
「ありがとう、行ってきます」
明るい声でそう言い残し、ふみは家を出た。胸の奥が熱く、どうしようもなく高鳴っている。
待ち合わせの場所に着くと、すでに愛斗が車の側に立って彼女を待っていた。
「お待たせ、ごめんね、待った?」
駆け寄るようにして声をかけると、愛斗は優しく笑って首を横に振った。
「ううん、全然待ってないよ。俺もさっき着いたところ」
「そう? よかった。じゃあ行こっか」
ふみがにっこりと笑うと、愛斗はまっすぐ彼女を見つめて、瞳を細めた。
「ふみ、今日すっごく可愛いじゃないか。なんだかいつもよりずっと綺麗だ」
そう言われて、ふみはほんのりと頬を染め、恥ずかしそうに笑う。
「だって……愛斗くんとデートだもん。ちょっとだけおめかししちゃったの」
「そっか、それなら余計に嬉しいな。本当に可愛いよ、ふみ」
柔らかい言葉を贈られて、ふみの心は甘いもので満たされていく。二人は周りに誰もいないことを確認すると、そっと顔を寄せ合い、短いけれど確かな口づけを交わした。指と指をしっかりと絡ませて手をつなぎ、ゆっくりと駐車場へと歩いていく。
「ふみ、そんなことしたら貞夫さんにバレちゃうよ。せっかく信頼してもらってるのに」
愛斗は慌てたように言いながらも、彼女の体をしっかりと抱き止める。その瞳には、ふみだけに向けた熱い想いが宿っていた。
「大丈夫だって。あの人はテレビがついてたら、周りのことなんて何も見えないんだから。こっちに来るわけないよ。それに、こうして愛斗くんと一緒にいる時間、少しでも長く感じていたいの」
ふみは悪戯っぽく笑い、再び彼の唇を奪う。二人はキッチンの隅で、夫に気づかれないように少しだけ肌を重ね合わせ、小さな愛撫を交わした。胸元に手を滑らせたり、腰に腕を回して抱き寄せたり、言葉にできない想いを体で伝え合う。短い時間だったが、ホテルでの時間と同じように、二人の心は熱く高ぶった。
それからゆっくりと気持ちを落ち着け、二人は並んで料理を作り始めた。包丁を持つ手も、鍋を混ぜる手も自然で、まるで本当に一緒に暮らす二人であるかのように息が合っていた。
料理が出来上がると、二人はお皿に盛りつけてリビングのテーブルに並べ、三人で席についた。
「いただきます」
三人の声が重なり、静かな夕食の時間が始まった。テーブルの下では、ふみの足が愛斗の足にそっと絡みつき、二人だけの秘密の合図を送り続けていた。愛斗は時折、ふみの顔を見つめ、自分だけが知っている彼女の艶やかな表情を思い出して、胸の奥が甘く痛むような感覚を覚えるのだった。
食事が終わり、テーブルを片付けたあと、ふみが淹れてくれたコーヒーを手に、愛斗はゆっくりと湯気の立つカップを口元に運んだ。
「美味しいです、ありがとう」
柔らかい笑顔でお礼を言うと、ふみも嬉しそうに頷き、三人でしばらく他愛もない話に花を咲かせた。時計の針がだいぶ遅い時間を指した頃、愛斗は席を立ち、貞夫とふみに丁寧に挨拶をして家を後にした。
外に出ると、夜の冷たい空気が頬に心地よい。駅へと向かう道すがら、近くのコンビニに立ち寄り、奥に設置されたコピー機で必要な書類のコピーを済ませ、ついでに翌日の朝食と飲み物をカゴに入れて会計を済ませた。
自分の部屋に帰り着くと、真っ先に冷蔵庫からカフェオレを取り出して一口飲み、一日の疲れをゆっくりとほどいていく。それからゆったりとお風呂に浸かり、体を芯から温めると、ふみのことを思い浮かべながら、やがて穏やかな眠りに落ちた。
朝日がカーテンの隙間から柔らかく差し込む頃、ふみは目を覚ました。鏡の前に立ち、丁寧に化粧をして、いつもより少しだけ華やかな服に着替え、髪型も念入りに整える。心が弾んで、指先まで軽やかだ。リビングに降りると、貞夫が新聞を広げていた。
「どこか行くのか?」
顔を上げた貞夫の言葉に、ふみは笑顔で頷く。
「うん、昔からの友達とランチに行ってくるね」
「そうか、それはいいな。ゆっくり楽しんでくるんだぞ」
「ありがとう、行ってきます」
明るい声でそう言い残し、ふみは家を出た。胸の奥が熱く、どうしようもなく高鳴っている。
待ち合わせの場所に着くと、すでに愛斗が車の側に立って彼女を待っていた。
「お待たせ、ごめんね、待った?」
駆け寄るようにして声をかけると、愛斗は優しく笑って首を横に振った。
「ううん、全然待ってないよ。俺もさっき着いたところ」
「そう? よかった。じゃあ行こっか」
ふみがにっこりと笑うと、愛斗はまっすぐ彼女を見つめて、瞳を細めた。
「ふみ、今日すっごく可愛いじゃないか。なんだかいつもよりずっと綺麗だ」
そう言われて、ふみはほんのりと頬を染め、恥ずかしそうに笑う。
「だって……愛斗くんとデートだもん。ちょっとだけおめかししちゃったの」
「そっか、それなら余計に嬉しいな。本当に可愛いよ、ふみ」
柔らかい言葉を贈られて、ふみの心は甘いもので満たされていく。二人は周りに誰もいないことを確認すると、そっと顔を寄せ合い、短いけれど確かな口づけを交わした。指と指をしっかりと絡ませて手をつなぎ、ゆっくりと駐車場へと歩いていく。

