不倫の恋

山奥の撮影現場で出会った瞬間から、ふみの心は愛斗に奪われていた。
写真家として風景を追い求めるふみの、自然と一体になったような真摯な姿に、独身の愛斗は一瞬で心を惹かれ、ふみもまた、まっすぐで優しい愛斗の人柄に次第に惹かれていった。
お互いに想いを告げたとき、ふみに家庭があることを愛斗は知った。それでももう、気持ちを抑えることなどできはしなかった。
 二人は許されぬ恋に落ち、誰にも言えない秘密の関係を育んでいった。
ある日の撮影が終わった後、二人は人目を避けるようにラブホテルへと入った。
鍵を閉めた瞬間、互いの腕が絡みつき、熱い口づけを交わす。息もつけないほどの口づけを重ねながら、ゆっくりと服を脱がせ合い、裸の体を重ねてベッドに横たわった。愛斗はふみを優しく抱き寄せ、肌と肌をぴったりと重ね合わせる。
長い間抑えていた想いが一気に溢れ出し、二人はただ互いの存在を確かめ合うように、体中で愛を伝え合った。
一通りの情事を終え、二人はただ腕の中で寄り添い合っていた。ふみは愛斗の胸に頬を埋め、彼の腕にすっぽりと収まっている。
「最高だったよ、ふみ」
愛斗の囁きに、ふみはくすぐったそうに笑って頷いた。
「ならよかった……私、こういうの初めてだけど、ちゃんとうまくできたかな」
柔らかい声でそう言うふみを抱きしめながら、愛斗は驚いたように言った。
「うん、すごくよかった。それにしても、旦那さんとはこういうこと、したことないの?」
ふみは小さく首を横に振る。
「ないよ。結婚してからも、ずっとこんな風に心から惹かれ合うことなんてなかったから」
愛斗は彼女の頬に手を伸ばし、指先でそっとなぞった。
「え、マジで? だってふみは色気もあるし、こんなに綺麗なんだから、俺が旦那だったら毎日でも誘うけどな。俺はふみのこと、会うたびにどんどん好きになっていくんだ」
ふみは顔を赤らめ、嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、愛斗くん。私も同じ気持ちだよ」
再び二人は唇を重ね、先ほどよりもさらに深く、情熱的な口づけを交わす。そして、ゆっくりとまた体を重ね合わせ、互いの熱を分け合い、ただ二人だけの時間をたっぷりと味わった。
愛し合う時間をたっぷりと過ごした後、二人はゆっくりと服を着て、何事もなかったかのようにホテルを出た。夕暮れの街を車で走らせ、ふみの家へと向かう。愛斗も一緒に家に上がり、リビングにいたふみの夫・貞夫の前に姿を現した。
「おや、愛斗くんも一緒だったのか?」
貞夫はテレビの画面から目を離し、穏やかな声で言った。独身である愛斗のことを、貞夫はふみの仕事仲間として、ただ信頼し親しく思っていた。
「うん、仕事先でたまたま会ったのよ、貞夫さん。それで、これから晩ごはんでも一緒にどうかしらって話になって」
ふみはいつも通りの柔らかい笑顔で夫に説明する。愛斗も頭を下げて挨拶をした。
「はい、お邪魔させてもらってもよろしいですか。お二人のご迷惑にならなければ嬉しいのですが」
ああ、もちろんだ。ゆっくりしていってくれ。一人身だと、普段は外食ばかりで退屈だろう? うちの飯もたまには食べていくといい」
貞夫はそう言って親しみを込めて笑い、再びテレビに目を戻した。二人の様子に、疑いの目を向ける様子など少しもない。愛斗は貞夫としばらく世間話をした後、ふみに手招きされてキッチンへと向かった。
「愛斗くん、お料理手伝ってくれる?」
「はい、喜んで。俺、料理は得意なんだ、腕によりをかけるよ」