君の知らない僕のダークサイド〜救ってくれるもの

「海がきれいだね」
と、つい先日つきあい始めた彼氏、拓海(たくみ)さんが言った。

目の前に広がるオーシャンビューっていうらしいけど、風がぴゅーぴゅー吹いてんだよ、

おーしゃんぴゅーだ!
でも海はまあまあきれい。

「そうですね」
話を合わせたけど、それよりお腹すいたって思ってた。
「もう少ししたら綺麗なサンセットが見えるんだよ」

サンセット待ち?
って思うと、さらにお腹がすいてくる。

拓海さんは婚活市場でいうところの
ハイスペイケメンエリートらしい。

わたしはイケメン好きだ。
脳内にはオリジナルのイケメン図鑑を持っている。
拓海さんの顔もイケメンだから、その図鑑にいれてある。

でも話が全然面白くなかった。

拓海さんは、わたしが働いてるカフェの常連さん。
「あなたの笑顔をずっと近くでみていたい」
って告白されたのでつきあってみた。

すべてが演出みたいで、気持ち悪いくらい完璧なエスコート。
なんか、いい子にしてなきゃダメみたい。

わたしの知らない言葉つかうし、
「え、なんですって?」
いちいち聞かないとわからないし、たこ焼きとかでもいいのに、そんなのは拓海さんセレクトには絶対入ってない。

はっきり言って
「合わない」
と思った。

つきあってから拓海さんは、店の定休日以外、毎日ランチタイムにくるようになった。
そしてだんだん

「ちょっと笑顔ふりまきすぎじゃないか」

とか、ほかの常連さんと話してるだけで、話し過ぎだよとかいちいち言うようになっていった。