後輩彼氏ドSすぎませんか!?

「凛先輩、好きです。キスしていいっすか」

「ちょっと待ってよ、まだ早いって!」

私の体が引き寄せられて彼の唇にーー

ジリジリジリジリジリジリ

「ちょっと待ってーー!」

私は自分が出した大きな声と目覚まし時計の音で、寝ぼけてた頭が現実に戻った。

....夢だった

湊がいつもいつも私をからかうから!

また変な夢見ちゃったじゃん。

最近は本当寝不足だよ.....

私の後輩''湊''は、高校2年生。

いつも生意気で私ばかりに意地悪をする。
そんな湊の事を私は目で追うようになった。
恋なのかわからないけど、湊に彼女ができたらなんて思いたくない。そんな気持ちになっていった。

ピロン

頭元にあったスマホから通知音が鳴った。

画面を開くと''生意気な後輩 湊''からだった。

''先輩、家の前で待ってますけど、まだ起きないんですか?家入りますよ''

あぁ!もう!

わかったよすぐ準備すればいいんでしょう!

私はいつもの制服に着替えた。

今日はこっちのスカートの長さの方が可愛いかな?

髪の毛はポニーテールにして洗面台に向かおうとして、部屋の扉を開けた瞬間

「先輩、遅いんですけど、てか今日髪の毛可愛くね?俺に見せるためっすか?」

私のほっぺをムギュッとして顔を近づけた。

いつもいつもこんな事してきて一回もドキッとした事なんかないんだから。

って頑張って思ってるだけで、実際はドキドキしまくりなのよねぇ。

目元はキリッとしててカッコよくて

身長も私より全然高い。運動神経抜群だし。

おまけに、空手日本チャンピオン.....

誰がどう見てもかっこいいやつなんだけど....
裏では...ね。

私の前だけじゃドSっぷりが半端ない。

「先輩、スカートめくれてますけど」

....は!?

「ちょっと向こう向いててよ!!」

「いいじゃないですか、熊さん柄の下着....」
彼は笑いを堪えてるように肩を揺らして笑った。

「笑わないでよ....本当に恥ずかしいから」

私は顔が熱くなった。

「大丈夫ですよ、多分誰にも言わないんで」

「多分って何?もう先に行ってて!」

私は部屋のドアをバタリと強めに閉めて
しばらく部屋から出なかった。

本当無神経なやつ。

さっき整えた制服も髪の毛もぐっちゃぐちゃ。

髪の毛解いていこう....

私は学校に行く準備が終わって玄関を開けた。

どうせ、隠れて待ってるんでしょ。

....あれ?いない。先に行ったのかな。

ピロン

スマホからまた通知がなった

''先に行ってますね''

いつもなら待ってるはずなのに。

今日は1人でトボトボ歩いた。

その瞬間、後ろから大きな手が私の口を塞いだ。

ーー誰!?

「先輩、俺ですよ」

湊...先に行ってるんじゃなかったの。

「先輩、俺が居て嬉しかったんですか?
顔に書いてますよ」

「1人で行くより湊と行ったほうが暇じゃないから。それだけだから!」

湊の顔を見上げると、少しだけ耳と顔が赤くなっていた。

....こんな表情するからじゃん。
だから夢にも出てくるんだよ。

なんで湊が私ばかりに意地悪してくるのかもわかんない。

「ねぇ、湊、なんで私にばかりいつも意地悪してくるの?」
私は彼の顔を覗き込んだ。

「さぁ?先輩が小学生みたいで可愛いからじゃないですか?体型も...」

....ッ!

確かに私は低身長ぺったんこですけど!

これ以上努力しても何も大きくならないんだもん!

湊のタイプは、多分綺麗な女性で身長が高くてスタイルが良い女の子なんだろうなぁ....

湊って好きな人いるのかな。

「湊って好きな人いるの?」
私は頭の中で考えてた事を咄嗟に言葉に出してしまった。

「いますよ」

「あ....そうなんだね」

私では....無いか、好きな人にこんな意地悪しないよね。
私、子供っぽいし。

その瞬間、後ろから女性の声が聞こえた。

「湊、おはよう〜」

「お〜おはよう。今日はえーな」

湊が普通に笑って楽しそうに話してる。

もしかして、湊の好きな人って....


「あっ、湊の隣にいる人っていつも言ってる先輩?」

「そうだよ、今日なんて熊のパン....」

私は湊の口を急いで塞いだ。

「ねぇねぇ、湊とどんな関係なんですか?」

「ただの、''先輩''だよ」

そう、私はただの先輩。

それで良い。

私が湊の心に入る隙なんて1ミリもないから。

「湊、ごめん。私日直だった。先いくね!」

私は湊に背を向けて学校まで走った。

あの場所に居たくなかった。

最初は生意気な後輩だったはずなのに。

学校の下駄箱に付くと幼馴染の隼人と佳奈がいた。

「凛、おはよ〜なんでそんな息切らしてんだよ」

「ちょっと、走ってきちゃった」

「今日、湊くんいないじゃん。なにかあった?」

隼人と佳奈は私の隣の家に住む幼馴染。

2人とも、小さい頃から私の両親とも仲良くて

よくお泊まりもしてた。

高校入ってからは隼人はお泊まりなんてした事ないけど、佳奈は毎週のように泊まりにくる。

「あ、2人とも、今日私のお母さんがご飯食べにこないかって言ってたよ」

「まじ?行くわ!凛のお母さんのご飯めっちゃうまいからなぁ!楽しみしとく」

隼人は湊と違って喋り方も笑い方も全部優しいな....

なのに、どうして湊が気になるの....

私は靴を履き替えて教室に向かった。

....頭痛い。朝からいろんな事考えすぎたなぁ

私は自分の席に着いた。

頬杖をついて窓際から生徒達が登校してくるのを眺めた。

ん?あれ?湊なんで1人で学校きてんの?
あの子と居たはずじゃ。

待ってくれたのに、置いてきちゃった....
謝りに行こう。

椅子から立った瞬間目の前がくらっとした。
足に力が入らなくなった。

倒れかけたその時、後ろから誰かが支えてくれた。

「凛、大丈夫か?体があついぞ」

私の後ろから聞こえたのは隼人の声だった。

そのまま体がフワリと浮いた。

ーーお姫様だっこ!?

「隼人、大丈夫だよ、おろして」

「歩けねぇんだろ、保健室行くから寝てろ」

私は力も入らなくて、そのまま眠ってしまった。

目を覚ますと白い天井、ベッドの周りにはカーテンで囲まれた保健室だった。

目の前がまだ少しぼやけて体が熱い。

気分が悪い....

喉乾いたなぁ....

その瞬間、カーテンの裏から声がした。

「先輩、大丈夫ですか」

湊?

カーテンがシャッと開いた。

湊が来てくれるって、私幻覚見えてんのかな。

来てくれるはずないのに....

湊の手が私のおでこに触れる。

「先輩、あつすぎます」

....少しだけわがまま言っても良いかな。
どうせ夢なんだから。

「湊、水飲みたい」

「売店で買ってきましたよ、起きれますか?」

「飲めない、飲ませて」
 
「先輩、何言ってんですか」
 湊は少し困ったような声で言った。
目がぼやけて表情までわからなかった。

夢なら全部言っちゃえ。

「私じゃ、ダメなら優しくしないで」

数秒だけ沈黙が続いた。

「なに他の男にお姫様だっこなんてされてるんですか」
いつもの湊とは違う、少しだけ怒ったような声だった。

「湊だったら、嬉しーー」

その時、唇が熱くなったと同時に口の中に水が入ってきた。

ーーえ?口移し?

しかも、すごくリアルだけど、夢だよね?

「先輩、無防備すぎだろ....俺だって男なんですけど」