乃々は、苦手な計算を、辛抱強く見直しをしながらゆっくり解いた。
掛け算と割り算より、足し算と引き算の方が乃々には間違いやすかった。
「乃々」
作文用紙から目を上げないまま、蒼空が単調な声で呼んだ。
「何?」
乃々は二回目の見直しをしているところだった。
「お前、好きなやつ居る?」
出し抜けに蒼空が聞いたので、乃々は計算を止めた。
「居ない。なんで?」
「友達が女子に、ラブレター書いたんだ」
「へえ。どうだった?」
「まだ付き合わないからって言われた。普通に仲良くしてるよ。そいつとばっか遊んでる。」
「ふーん、良いね」
「うん、将来は結婚するって言ってるって。約束もしたらしいよ。……それで、お前は居ないんだね。」
ふ、と口元を綻ばせた蒼空は、顔を上げて頬杖を付いて、もしできない所あったら教えてやる、と乃々に言った。



