乃々の貸別荘の話




                   
 


 麦わら帽子は、去年お祖母ちゃんの家に行った時買って貰ったもの。

 ポシェットの中には、ハンカチと、チョコと、バンドエイドと小さな虫よけのスプレーが入っていた。

 途中コンビニでお茶を買って、車に乗る前に蓋を開けた。



 貸別荘は車で五時間ばかりの所にあった。



 駐車場に降りた乃々が辺りを見回すと、別荘は二階建てで、葉のそよぐ見事な緑に囲まれていて、建物は家と比べてかなり大きく見えた。

 白い壁には木を組んだ様なお洒落な模様があり、庭の向こうには日陰になったプールが見えて、乃々の別荘に対する感動は高まった。



 運転席から出て来た母親は、トランクから両手でスーツケースを降ろした。


「乃々、荷物良いからちゃんと靴履きなさい」


 サングラスをして、リゾートの格好をした母親に言われて、乃々は靴を直した。