乃々の貸別荘の話







 晴れた空が広がり、アスファルトは夏の日差しに眩しく光って見える。 

 蒼空の母親と蒼空は大人数乗りの車の前で乃々達が向かって来るのを待っていた。

「おはよう、乃々」

 車に寄りかかって、蒼空が言った。

「おはよう」

「森の動物の展示は、動物園よりはまし。行かなくても僕は別にいいけど、新しい展示なんだって。」

「乃々ちゃんのママはいつもお洒落ねえ。乃々ちゃんも可愛い格好で。今日もワンピースなのね。いいわねえ、女の子は。」

「よくもないわよ。うちはどう考えてもママの着せ替え人形になってるわね。私は楽しいけど。乃々、ハンカチちゃんと持ってきたでしょうね?」

 乃々が、持ってきたハンカチを見せようとしてポシェットのジッパーを開けると、横から虫よけスプレーが落ちてアスファルトに転がった。

「すぐ着くと思うけど、蒼空、エアコン入れて頂戴」

 ドアを開けて運転席に乗り込むと、蒼空の母親が言った。

「CD流すよりお互いの話で盛り上がりましょうよ。蒼空乃々ちゃんと後ろに座りましょう」

 乃々が後部座席に乗り込むと、蒼空が隣から乗り込み、バタンと扉を締めた。