「そうだ、ライム交換しましょうよ」
楽譜をファイルに挟むと彼は即座にこう言う。
好きな女の子を目の前にすると欲しがる欲みたいな
のが部活動でみせる向上心と不一致──。
「なるちゃんって呼んでいいですか?」
「勝手にどうぞ」
「僕のことも憂太って呼んでください」
いきなりハードルあげてきた。
特別扱いしろってことだよね……?
部の練習中はさすがに苗字で呼ぼうっ。
付き合ってる彼女みたいで周りの目が集中
するし。先生からも問われそうだし。
「じゃあ悠!また部でね!」
「はい」
こんな平穏な日々が
脅かされるとはまだ知らずに──。
わたしの見る世界では
管弦楽は厳しめの方。
上下関係も厳しい。
だからそういった手当も偶然
呼び捨てから始まると団結力が
柔くなる。
二人だけの約束に違いなかった──。


