「なーる!」
スキップ混じりに目の前に現れた憂太君。
先越されそうな態度と度胸は私の胸を高鳴らせた──。
「恋愛レベルとかもしかして比べてます?」
ウンザリ、といった態度で
ネクタイを気怠げに緩める。
「不変なんてこの先ないですよ、
僕たちこうやって遅かれ早かれ
大人デビューするんですから」
憂太君の大人デビューを想像する。
自家用車に凭れ余裕な表情をしてるのがみえたっ。
憂太君は心配げに
「なる先輩は大人になったらどこにも行ったり遊びに
行ったりしないですよね?」
久しぶりに上下関係を感じさせられた。
「憂太君補給無しは厳しいかな──」
あまつさえ言うと、
「ですよね。僕無しだと、
野垂れ死にますよね──」
そんな横顔に、
「そんなことないもん、頑張って大人演じるもん」
「じゃあ今はどうなんですか──?」
「今?とても幸せだよ。大学合格がゴールだけど」
「勉強と僕どっちが大切なんですか?」
「秤にはかれないよ」
柔和な笑みをみせる。
「不安ですもんね、僕なしだと──」
言い聞かせるように憂太くんは言葉を紡いだ。
fin.


