猛攻する犬系後輩に抗えない



さあっ鏑木くんとわたしのタイマンが始まるっっ。


距離は遠い。


指揮者であるのんこと希は指揮台に立って本番に向けて
瞬間瞬間を必死に冷静に弾き吹き始めた──。



が、ピアノの唯が凡ミスを連発──。


加えて私まで歌詞迷子になる始末──。


そんな先輩の姿に見かねた希は──、



「もう一度最初からやり直し!」と言い、


事態を把握できていない様子でチーム感が抜けつつ音が乱れていってしまい、保育園の合唱コンクールみたいになってしまった。


「亜塚──、ゆっくりでいいから楽譜探してて──」



音のハズレを私のせいだと尻込みする希──。


それに終止符を打ったのが鏑木憂太君だった──。



「大橋先輩、誰かのミスを誰かのせいに押し付けるのは


やり方として汚いと思います──」


圧倒。静まり返る弦楽部の教室──。



自立精神が伴っているのか、チームの底力を見受けられた──。



そうだ。私が今までやってこれたのは若い世代の口添え



があったからなんだと──。



希は一点をみつめては歌詞をみて、指導ミスがないか改めて気づいた音ハメの部分から徹底的に指導した──。



「シンバル──。音が出遅れてる。大事なシーンだから
もっと緊張感持って──」



などとあらゆる楽器の演奏の仕方を徹底的に洗いざらい見直した──。



私もその間に楽譜を見つけ出し、演奏に混ざる──。



後輩に助けられた。


憂太君に。


お礼を伝えようとパート練習が始まる前に行く──



「鏑木君っ!さっきはありがと……」



鏑木読みされた上上下関係はありって胸の中で約束したのを思い出されるさっきの怒りの表情に打って変わった──


「僕の苗字に変わったのに、苗字読みはおかしいとは思いませんか──?」


夫婦仲になった記憶がないなか、なぜか次のセリフを期待した自分が居た──、



「いじめられたいんですか?いじめぬきますけど。それでいいんだったら──」


あちこちの後輩から視線が集中するなか、