服も、アクセサリーも、全部彼が買ってくれたもの。
『俺が選んだもの以外を身に着けるな』と怒るから。
髪もメイクだって、一生懸命、彼の好みに合わせた。
身に着けているものを取り上げられるたび、”彼専用のワタシ”が少しずつ削り取られていくようだった。
「じゃーな」
肩をドンと押され、そのまま助手席から雪の上にゴロンと転がり落ちる。
気がつけば私は、肌着だけになっていた。
白のキャミソールに、下はパンスト一枚。
雪の冷たさが、全身をキンと貫く。
空からは、ただ雪が降りしきる。
きらきらと眩しい雪の粒の、その奥の空を見上げながら、ブオンとエンジンを吹かせた車の音を聞いた。
夜を照らしていたテールランプの明かりが遠ざかると、そこは夜明け前の静寂。
点滅を続ける、信号機の真ん中。
誰もいない交差点の中央に、マヌケな女が一人、転がっていた。

