「いけよ」
乱暴に小突かれる。
腰を浮かせ、車外に出ようとした瞬間、勢いよく胸倉を掴まれた。
「マジで、行くんだな?」
「うん」
「お前、バカだろ」
「うん」
もう、行かせてよ。
ゆさゆさと胸倉を掴まれ、体と意志を揺さぶられる。
うざったくて仕方がない。
力の抜けた私の頭はグラグラと揺れながら、彼とは決して目を合わせず、外の雪を見つめていた。
不思議と、寒さは感じなかった。
「じゃあ……ッ!!!」
詰まりかけた声を吐き出すようにして、私は解放された。
首元が楽になり彼を見ると、筋が浮き出るほど奥歯を噛み締めている。
「俺がやったもん、全部返せ」
再び、私に手が伸びる。
「なに……やって、」
「服もブーツも、全部俺が買ってやったもんだろうが!」
荒々しい手でカーディガンを剥ぎ取られ、ニットを奪われる。
終いには私をひっくり返すようにして、ブーツをぶんどられた。
ぽい、ぽい、と、身に着けていたものが次々と後部座席に投げ捨てられていく。
「返せ、返せ。金も時間も! 別れようなんて、てめぇの口でよく言えたなァ……ああ!?」
耳からはピアスを引きちぎるようにして奪われ、お揃いの指輪は、指ごと抜けるような力で引っこ抜かれた。

