ぐるぐると、思考のような何かが蠢いている。
何だろ、私ってこの状況で何の話をしてるんだろ?
別れ話? こんなところで?
いやいや、もうちょっと考えなよ、私。
拭っても拭っても溢れる血の雫が、ぽたぽたと太ももを汚していく。
冷静にならなきゃ、と思う自分を、強烈な痛みがパニックへと引き戻す。
額が焼けるように、めちゃくちゃ痛い。
「お前、バカなの?」
「もう嫌だ」
痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い――……。
「じゃあさ、出てけよ」
「うん」
「今すぐに」
「ここで?」
「ああ」
私は今、試されている。
『どうせこんなところで降りられるわけがない』って、踏ん反り返っているのが声で分かる。
「わかった!」
やけに勇ましい自分の声が、冷たいガラスを伝って耳に返ってくる。
変なの。
なんだか今の私、なんでもできる気がする。
ハア、ハア、と上がる息がポンプみたいに、私の気分を押し上げてくる。
すごい。
信じられないくらい、ハイになってる。
運転席から手を伸ばした彼が、助手席のドアを開け放つ。
ヒュオオオ、と猛烈な冷気が車内に舞い込んだ。


