「一つあげるよ。着替えも、その辺のものを適当にどうぞ」
この人多分洗濯しないんだ。
床に広がって落ちてる服は着用済みで、ピラミッドの上の方にあるヤツは多分新品。
だってタグもついてれば袋もかかってる。
なんてお金のかかる生活をしてるんだろう。
信じられない。
再び消えたユキに、私はもう遠慮なく洋服を漁ってやった。
サイズが大きなものが大半の中から、自分に着られるものを少しだけ吟味をして、スウェットの下と、暖かそうなトレーナーをゲット。
さすがにブラはなかったので諦めた。
……あったらあったでどうなのって話だけど。
きっとAnBarに積み重なっていたモノも、こんな風に使えるものがたくさんあるかもしれない。
帰ったら着られるものを探してみよう。
そんなことを考えながら。
今度こそ教えてもらったお風呂場で温かいシャワーを浴びた。
ザァァァァ――…
身体の血を洗い流して、髪を洗うときは額が濡れないように気を付けた。
痛み止めのおかげで少し楽にはなったけれど、温めるとまた痛くなりそうだから手っ取り早くシャワーを済ませた。
脱衣所に出て、その辺で拾った新品のバスタオルを手に取ったときだった。
――ガチャ、と脱衣所のドアが開いたと思えば、歯ブラシを口に加えたユキが入ってきた。
