余所者-よそもの-

シートに背中を預けて目を閉じる。

痛い痛い痛い痛い。
焼けるように熱くて痛い。


1人になると痛みが増した気がする。
外に気を散らしていたほうが楽だ。

これは結構な怪我だなって考え出すと、痛みが喜んだみたいに出しゃばってくる。


がちゃ、と車のドアの音を聞くと、背中をピッと起こして姿勢をしゃんと戻してからユキを迎えた。


「なんかほしいものあった?」

「いいえ」と答えた私の膝の上に、小さなコンビニ袋が置かれる。


「とりあえず痛み止めだけ買った」


そう言ってシートベルトを締めるユキを尻目に、袋の中を覗き見る。

そこには痛み止めと水と栄養補給ゼリーが入ってた。


痛み止め……

思わず身体ごとユキの方を向いた。


「ほしいもの……これでした」

「嘘つき」

「え?」

「さっき『ほしいものはない』って言ったくせ」

「嘘じゃないです。ただ痛み止めって思いつかなかったんです」

こんなにずっと痛かったのに、どうして思いつかなかったんだろう。

コンビニありがとう!
痛み止めありがとう!


袋を覗き込みながら「わぁ」と感動していると、「ふっ、」と小さな笑い声が聞こえた。


バカだなって思われたのかもしれない。

それでもなんだろう、嬉しい。


『自分は気が利かない』っていうユキこそ、嘘つきじゃないか。


「ありがとうございます」

ゼリーをお腹に入れてから500mlのミネラルウォーターで痛み止めを流し込んだ。