余所者-よそもの-

……にしても。
ユキの家までは、車でどれくらいかかるんだろう。

ちら、と運転席を覗き見た。


「なに」


「あ、いや」

「トイレ?」

「トイレ?」


思わずオウム返しになってから、ああ、トイレに行きたいのかって聞かれてるんだと遅れて理解した。


「トイレはないです」

「お腹は空いてる?」

「いいえ……」


食べる元気なんてない。
今はなにより……少しでも早く休みたい。


「言いたいことがあるなら言ってくれ。俺は気が効かないらしいから、潤ちゃんみたいに察してやれない」

「言いたいことはないです」

「じゃあソワソワするの止めてくれ。こっちが落ち着かない」

「すみません」


そんなに落ち着きないように見えちゃってたんだ、私。

言われたとおり落ち着こうと鼻から息を大きく吸ってみた。

すると「はぁ、」と自分でもびっくりするくらいの声量で溜息が出たからマズイと思った。


会話の流れ的にユキに対しての溜息って思われたよね!?

そうじゃなくて、ずっと額が痛くて痛くて仕方がなくて思わず出ちゃったんだ。


焦る私もなんのその。

程なくして車はコンビニの前に停車して、ユキは黙って出て行った。