「金いくらか貸してやるよ」
「絶対返します」
居たたまれない気持ちで御礼を言った矢先。
お尻のポケットから財布を出そうとする潤の手をユキが止めた。
「いいよ潤ちゃん」
「いや、可哀そうじゃん。血を流したいんだろ……ん?」
潤が私の額を指差す。
「カナコちゃん、それで銭湯いける?」
そこまで言われて自分がとんでもない恰好をしていることに気が付いた。
顔の大きな怪我、血の跳ねた白のキャミソール、下はパンストのみのおかしな格好。
大判のブランケットのおかげでかろうじて隠れているけれど、とても公衆の面前に立てる見た目じゃない。
「そういうことね。今日はユキんちで引き取るのか」
「………」
返事をしないユキに心配になる。
そんな私に潤は「あー」とちょっと考えたようにしてから言う。
「ユキが返事しないときは肯定と取って大丈夫。アイツ嫌だったりダメな時ははっきり言うから」
ユキを見ると自分の話なのにまるで関心がないようにスマホを触ってる。
「難しいヤツだけど悪いようにはしない。俺に金出すなってことはユキが面倒見るってことだから、これからのことはアイツに任せておけばいい」
そう言ってポンポン、と肩を叩いた。
誰かの家にお世話になるのなら、この中だと潤が一番よかったな。
……なんて、極めて厚かましい希望はもちろん口には出さないけれど。
