「俺、潤。おねぇさんの名前は?」
「カナコです」
フロアに着くと潤は手に持っていた酒瓶を一気に呷って、空っぽになったそれをカウンターにコン、と置いた。
「久しぶりに2階に上がったけど、相変わらずとんでもねぇな!」
「瑞生さん、ありがとうございます」
ペコっと頭を下げれば、瑞生でなく潤が「いい、いい」と返事をする。
「ユキって呼べばいい。みんなそう呼んでる。で、アッチのデカいヤツがサンコンな」
ホストは潤。
瑞生はユキで、熊はサンコンか。
覚えられるかな。
潤のおかげで少しだけこの場に慣れて、ホッとする。
すると疲れが一気に出てきたもんだから困った。
血が足りないのか頭はくらくらするし、今すぐ眠ってしまいたい。
「潤さん」
「なんだ?」
「この辺にシャワーを浴びられるところはありますか?」
「あるにはあるけど……満喫とか銭湯とか。あ」
あ、と何かに気づいた潤に私も気が付いた。
そうだ。私お金持ってない。
