誰かそろそろ教えてよ。
そんな気持ちになって、やっとのこと自分の身の上話をする。
「わたし彼氏と旅行に来てて帰り道だったんです。殴られて、車から飛び出して、そこで紫藤さんに助けてもらいました」
話を聞こう、とでも言うように、ソファに座り直したホスト。
「どこから来たんだ?」と聞かれたので、自分の地元を伝えた。
「ずいぶん遠いところから来たんだな」
「別れ際…全部捕られたので何も持ってません。スマホも、財布も。だから……」
「だから紫藤は俺に、無一文体一つの女の世話を押し付けたってことだ」
私の代わりになって事の顛末を締めくくった瑞生。
ホストは「なるほどな?」と考えるようにソファに姿勢悪く埋もれた。
「…んでもま、要はラッキーだったんじゃね?」
「さぁ」
「店潰されるとか、ウン百万取られるとかよりマシじゃん。余所者ってことは紫藤の関わりもないワケだし」
そこまで言うと空っぽになったジーマの瓶を上げて「サンコン、もう一本」と注文をつけた。
「んで?家はどうするんだ?余ってる家なんかないしなぁ」
「あるだろ」
そう言った瑞生は天井を指さす。
上?
「ああ!でもそりゃお前……」
ははは、とホストが笑うと「お前、可哀そうな?」と肩を叩かれた。
上?上って?
豪華なシャンデリアを見上げながらハテナを飛ばす私を不憫に思うようにして言う。
「上に一個、部屋がある。あ、見に行く?」
そう言って立ち上がったので、私も彼の後をついていった。
