「なぁにやってんの」
白目を向きかけた頃。
この状況にそぐわない、呑気な声がフロアに響いた。
熊は目の前で溜息みたいな声で「ユキさん」と呼んで、いたぶっていた私をぽいと手放し、
瑞生の方へ駆けていく。
「ユキさん!」
瑞生はドスドスと突進するみたいな熊の手を直前でピ、と片手で払い退けてしまった。
「ユキ、おかえり。んで?コレは何?」
尻もちをついたままの私を顎で指すこの男。
金髪の髪に、襟足を黒く染めた髪。
折り目の効いたスーツは、多分誰が見てもホストだと思う。
瑞生は熊とホストから『ユキ」と呼ばれ、親しい間柄なのだとわかる。
