余所者-よそもの-

ここまでくるとさすがに腹も据わる。

瑞生が指さした建物を見上げた。
閉じたシャッターが大半の路地の中で唯一看板を光らせているから、迷うことはなかった。

ここに行けってことだよね。


「…クラブ、あん、ばー?」


入口の手前、頭上の看板。
派手な装飾で囲った藍色をベースに金色の筆記体。


そこには ”club AnBar” と書かれている。

入るしかない。


「おじゃましまーす……」


重厚な黒いドア。
金色の取っ手を引けば、ドアはちゃんと開いた。


どうしよう、怖い人が出てきたら。