「覚悟はあるか?」
「覚悟、」
「人生やり直すっつったな?」
「ええ、まぁ、はい」
さっきみたいに笑ってくれた方がよかった。
こんなまっすぐに、真剣な目で言われたら余計恥ずかしくなってくる。
「助けてやる」
助けるって、どんな風に?
首を傾げた、その瞬間だった。
ーーガラリ、と音を立てて、スライドドアが外から開く。
冷たい夜風が、車内に舞い込んだ。
「待てるだけ待ったけどもう限界。帰っても?」
誰だろう。
車内をのぞき込む様子もなく、ただ不服をつらつらと申し立てる、知らない男。
紫藤怜は「丁度よかった」と返事をして、会話を始める。
「お前、店やってたよな?」
「趣味程度で」
「嘘つけ。目立ってんだよ、お前ら」
「それは知らなかった」
なんということだ、と手を口に宛がう仕草をするくせに、声にその表情がない。
さもどうでもいい会話をしていると相手にわからせるように話す男の表情が、この後崩れた。
「お前、女。預かれ」
「……は?」

