余所者-よそもの-

ペチ、ペチ、と叩かれる頬。

薄目を開けると、さっきの男前……もとい、紫藤怜が居た。


私の額には分厚いガーゼがテープで固定されている。
多夜はあれから一言も話さなかった。

この状況でなかなか肝が据わってるらしい私は、図々しくもうたた寝していたらしい。


この人の約束とやらが済んだのだろうか。


「で?ケガの具合は」

「終わってる」


お…終わってる、とはどういう意味で?


「応急処置だろこれは。医者の必要なケガかって聞いてんだよ」

「要らん」

「女でもか?」

「肉しか割れてない」

「じゃあダメだな」


どうして会話が成立するのか不思議だ。


「キズを顔に残したくなきゃ、早めに病院に行け」


私に向き直り、そう言うと「で、」と話に区切りをつけた。


「どうする?」

「どうする…?」

「さっきの話本気にするぞ?」


どういうことだ、とフリーズしている間に、タバコに火が点いた。


キレイな形の唇で吸い込むと、タバコの先が赤く光る。

そんな様を見ている間も、会話に追いつけない。