両手で前髪を上げると、消毒液を浸したガーゼが額の傷をなぞる。
キズに染みて、ビクッと身体がはねた。
「紫藤さんは、どんな用事で……」
「違う」
「アイツのことは『シド』と呼べ」
「シド?あだ名ですか?」
そう尋ねると、グリグリと傷口にガーゼを押し付けられた。
「――…痛ッ!!」
「シド」
この人、怖い。
怒ってるの?
「シド、だ」
「シ…ド、」
違う、この目を私は知ってる。
――…『わかったか!次はねぇぞッ!!!』
私を殴りつけてくる彼が、フラッシュバックする。
「それが、それだけがお前にとって重要なことだ」
目の前には血をぬぐったガーゼ。
傷口が冷たく感じたと思うと、血の雫が鼻筋をたらりと這った。
そうだ、これは
――…調教だ。
