「ヨソモノ?」
「なんであの場所に居た」
私の質問は無視な上、間髪入れずに飛んでくる質問。
まるで事情聴取。
気づけば車は路肩に停車していた。
小さく鳴っていたBGMはもっと音を絞られて、私の声は運転手にまで届くだろう。
一度大きく深呼吸をしてから話す、これまでのこと。
遠い地元から温泉地まで彼氏と旅行に来ていたこと。
彼を怒らせてボコボコにされて、身ぐるみ剥がれて置き去りにされたこと。
そこまで小難しい話ではないことをまとまりなく話す私に、目の前の男は眉間に皺を寄せてじっと聞いていた。
「これからどうする」
男の質問に、すぐに答えることができない。
これからどうする?
どうしよう。
なにも考えてなかった。
「地元に帰るのか?」
「地元には……帰れません。彼が居るし」
そっか。
私、本当に彼と別れたんだ。
いつの間にか緩んでいた手を、もう一度固く丸め直した。
全然実感がなかったけれど、私スマホとお金がないどころか、帰る家だってなかったんだ。
「あの」と再び切り出せば、男と目が合う。
鋭い目つきだった。
意志の強そうな眉に、大きな口は一文字に結ばれている。
