余所者-よそもの-

しばらく車は走ったと思う。
どれくらいの時間が経ったか、以降はずっと車内は無言。

もうそろそろ話せそうな程度には温まってきたんだけど、如何せん空気が重くて、話しかけにくい。


どうしよう。


身体に巻いたブランケットを両手で握りしめて、男に視線を送ってみる。



「お前、どこの誰だ」


びくっと身体がはねた。
だって視線は送ったけど、男は私の方を見てない。


なんでだろう。
さっきまで寒かったのに、汗が出てきた。


「わたし、カナコっていいます」

「あ?どこのだよ」

「どこの?住所ですか?」

「は?」


え、なに、なんかおかしなこと言った?

そうだ、間違ったんだ。

まず最初に言うこと。


「助けていただいてありがとうございます」

「おい、」

「ええと、全然怪しいものではなくって」

「待て」


え、やめてほしい。
怖い、焦る。

なんでこんなテンパってんだろ私。


男の低い声がまるで私を威嚇するみたいに鋭くって、それでいて……


「お前、ヨソモノか?」


そうだ。

目の前の男は怖いくらい男前。


緊張します。