「暖房上げろ」
「もうMAX」
車に乗り込むや否や。
私は男の座る後部座席の隣に転がされて、車内にあったブランケットを押し付けられる。
私がちんたらしている間に車の中もすっかり冷えてしまったようで、隣の男も、運転席の男も寒そうだ。
車がゆっくりと走り出すと、運転席の男が口を開く。
バックミラー越しに目が合った。
「その女、どうする気だ」
男は細くて鋭い目をしていて、視線でグサグサと私を串刺しにしてくる。
「さぁな。まずは喋ってもらう」
「さっさと喋らせろ」
「寒くて喋れねぇんだろ」
口を両手で覆いながら、はぁーっと息で温め続けている。
だけど芯から冷えた身体はなかなかにしぶとく、居たたまれない。
「とりあえず目的地に向かえ」
「わかった」
