余所者-よそもの-

始まりは、雪の日。

夜の喧噪が一つ、また一つと消えて。
この街のリセットを告げる朝日が昇るまでのひと時。


それは俺の前に、突然現れた。


たしかに、この日の俺のメンタルはよくなかった。
慌ただしい週末の終わり、気だるい体、ふりかかった面倒。

酷い疲れが出たのかもしれない。


だって、交差点のド真ん中。
真っ白な雪の上。

この気候の中、あまりにも無防備な素肌。


――人間じゃないと思った。


こんな場所で、あんな恰好で。
深々と降る雪を愛おしそうに抱いている。


俺にはこんなにも冷たい雪を温かそうに浴びてそっと微笑むそれに釘付けだった。


そうして迷うままに踏んだ雪。
その一歩は間違いなく、女の堕ちた交差点を捉えていた。