オレンジじゃない夕方





 


 新しい席で、授業はいつもと変わらず過ぎていき、ホームルームが終わって、放課後になった。

 机から鞄を持ち上げた敬が、慌ただしく立ち上がって、まだ座ってメモを書いている私を見下ろして言った。


  
「原さん、書くの遅いね」

「そう?」

「よくそれで時間が持つね。尊敬する。……じゃあね」



 私はそう言って軽く手を振った敬の背中を見送った。

 入れ替わりに冴がやって来て言った。


 
「嘘、真咲、前川くんの隣じゃん。」

「うん。」

「真咲にチャンスだね。春到来かあ。」



 冴は私をからかった。
 教室で、私達は今日あった授業の話を少しした。