オレンジじゃない夕方




  

 交差点にさしかかって、上を見上げる。

 信号待ちをしている時は、いつも他の何かを待っている気がする。

 赤色から青色に代わる信号を見ながら、私は、夕方の空がうす青く輝いているのに気がついた。
 
 それが不思議な現象なのか、普通なのか、私には分からない。
 ただオレンジじゃない夕方には、生と死の間の不思議な匂いがする。


「空が」


 私が口を開いた。
 

  
「何?」
 
「空がきれいだね」
 
「ああ。夕方なのに青いよね。オレンジじゃない夕方には不思議な力が宿ってる気がする。宵時間って良いよね。」


 同じ事を思っていた私は嬉しくなってつい笑った。
 
 
「共有したね!」

「え?なんて言った?」
 
「別に」
 
「共有ってそう言った?」

 
 敬が空を見上げた。

 
「特別な景色を共有すると、心とかメンタルがリンクすると思う。」
 
「私もそう思う。」

「僕達は宵闇の時間で繋がってる。」