オレンジじゃない夕方


 





 駅の近くの大きな本屋は明るかった。

 新しい本の匂いに、本はどれもきれいに整然と積まれている。

 敬と私は学校で待ちあわせをして、自転車で本屋まで来た。



 私は本屋に来るとなんとはなしに気分が上がる。着くまでは寒かったが、敬も来ていると思うとなおさらだった。



 敬は、冒険ものの特集のコーナーの前で、前に私が貸した本がないか探していた。

 私が貸した本はあまり有名でないものだったので、本屋には置いてないようだった。



「原さんは、どういう事を思いながら本を買うの?」



 敬は、今度はSFのコーナーを見ていた。



「私は……新しく知るものを楽しみに買ってるよ」



 敬が言った。



「僕は活字追うの面倒くさくて。読む前は疲れるかどうかが気になる。」

「そっか」

「最後まで読めるの、尊敬するよ」

「慣れもあるよ」

「買ってもちゃんと読まないかもしれない。」




 自分で買いたいと言って来たのに、敬はそんな事を言った。



 敬は結局、SFものの有名なやつを1冊買った。私も、付き合いと楽しみのために自分用にファンタジーを選んで1冊購入した。


「読みたくないのになんで本を買うのって、聞かないの?」



 駐輪場で、自転車の鍵を開けながら、敬が聞いた。



「どうして本を買うの?」



 私はついそのままを聞いた。



「原さんが読書家だからだよ」



 敬が呆れ顔で私を見た。