二十分休み、廊下を歩いて図書室に行くと何人かパラパラと数名の生徒が居るだけだった。
小説を取ってカウンターに付くと、窓から人気のない校庭が見える。
しばらく読んでいると、ガラガラと図書室の戸が開いて、誰かが入って来た。
横目で見るとそれは敬だったので、私はちょっとだけ姿勢を直した。
敬は図書室を歩いてきて、私が居る一番前のカウンターまでやって来た。
話しかける前に、私の居るカウンターに後ろから片手で手をついて、寄りかかるように立ったので、私は息が止まりそうになった。
「原さん」
敬が言った。
「代わる。先生が呼んでる。職員室まで来てだって。」
「あ、うん」
敬が言った。
「本読むの好きだね」
「うん、まあね」
「面白い?」
「う、うん」
敬はちょっと首を傾げて言った。
「そう。僕は読むのは嫌い。」
嫌い、とはっきり言われたので私は言葉に詰まってしまった。
敬が言った。
「本を読む人は好きだけど。」
私が何か言う前に言った。
「それじゃあ。」
私はドアをガラガラと開けて、図書室を出た。


