オレンジじゃない夕方







 昇降口に向かうと敬が付いてきた。

 カタン、と床に外履きを落としてから、敬がのんびり言った。


「さ、一緒に帰ろ。」

「敬さ」


 苦笑いした私は口を開いた。


「私に構わないほうが良いよ。それって好意なの?って誤解するから。誤解するの嫌だし。できれば構わないで欲しい。」



 敬は靴を突っかけながら顔を上げた。

 
「好意だって分かるの?」


 私は黙ったまま頬が紅潮するのを感じた。


 
「もし原さんが僕を追っ払ったら、その好意を無碍にした事になるね。」


 歩き出しながら敬が言った。


「そしたらその好意は二度と向けられなくなるよね。原さんは数少ない大事な友達を一人失う事になる。」


 敬が続けた。黒い瞳。

  
「それでも良いの?」


 オレンジの夕焼けが降り注いで昇降口を照らしている。